御曹司の溺愛エスコート
「どこへ行くの?」


小さな茶色のバッグを肩から下げている桜。


「スーパーまでです」


屈託無く笑いかける彼に桜の表情が和らいだ。


「ねえ、この間の美形のお兄さんって本当に彼氏?」

「え……」


ずばり聞かれて桜の頬がぽっと赤くなる。


「やっぱりそうなんだ。もしかして一緒に住んでいるの?」


あの雰囲気はそんな感じだったなと思った。
桜が肯定とも否定ともつかないあいまいな微笑みに敦は苦笑いをした。


「おい、敦 店の前で何を――」


ふたりが話をしていたのは美容室の前だった。


「あ……君はこの前の……」


桜をカットしたイケメンの美容師だった。


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