御曹司の溺愛エスコート
「出発ゲートはそっちじゃないぞ?」


桜は蒼真の声にびっくりして顔を上げた。
ブルーグレーの目が大きくなる。


「そ、蒼真兄……さま……どうして……?」


大事な学会なのに。
ここにいるなんて……。


「桜、どうして泣いている?」


泣きはらした目はずっと泣いていたように見える。


「私……」


涙を見られたくなくて手の甲でごしごし拭こうとした。
蒼真の手が伸びてその手を止められる。
かわりに大判のハンカチで優しく拭われた。
そうされることでまた涙が溢れ出てきて止まらない。


「私……シカゴに行けない……」


蒼真は自分の耳を疑った。

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