天然な女の仔×クールで無口な男の仔の物語 〜前編〜
「じゃあ、そろそろ失礼しますね。」
立ちながら稜亮さんに言った。
私たちは、あれからいろんな話をした。
学園のこととか龍夜のことなどいっぱい話した。
「もうこんな時間か。今日は、密歌ちゃんとたくさん話せて楽しかったよ。ありがとう。」
稜亮さんも私と同じように立ちながら言った。
「私こそとっても楽しかったです。こちらこそありがとうございます。」
私はペコリと頭を下げた。
「ほんと密歌ちゃんは可愛いね。」
「私なんか全然可愛くないですよ。」
「(龍夜に言うとおりほんと無自覚なんだね)」
なぜか稜亮さんはクスクス笑っている。
なぜだろう?
「密歌ちゃん。」
「はい、なんでしょう?」
「気を付けてね。」
稜亮さんは、院長室を出る直前にそんなことを言った。
「えと、はい。では、生徒たちのことをよろしくお願いします。」
急にそんなことを言われたのでさすがの私でもビックリしてしまった。
「うん、任せて。また遊びにおいでね。」
「はい。では、失礼します。」
稜亮さんは、手を振りながら私たちを見送ってくれた。