彼方
「おい」
ふと後ろから声がした。
低く大人びた声。
口調がまるで男だ。
「…アリサ」
「緊急会議だ。」
「分かった。」
僕と同じ、ユニバースのアリサは
木星の称号をもっている。
長いサラサラの茶髪と
スラリとした長い手足、
それから僕よりも高い身長の彼女は
美人というのに相応しいだろう。
冷血な顔を僕に向ける。
僕は華麗に走るアリサの後ろを
飛漸一族上層部しか入ることのできない
いわゆるアジトへと向かった。
「今宵、君達に集まってもらったのは
他でもない、アーカセス星についてだ。」
「アーカセス星?」
「ビビアは知らんかね。アーカセス星を。」
「知りません。」
「孤独の星。…でしょう?」
口を開いたのはアリサだった。
「ああ、そうだ。」
「昔は緑が豊かだったが、
今や魔物たちの住処だ。
魔物以外の生物は一匹たりともいない。」
シドがまとめる。
「孤独の星…ねえ。
で?そこに俺達で乗り込めと?」
「他に何がある。」
「相変わらずおっかねえなあ。アリサ様は。」
「黙れ。」