センセイと内緒。
「は、はい、分かりました。」
「なに、緊張しなくて大丈夫ですよ。
住所はここです。」
校長先生は俺に、その生徒の住所が書かれている紙を渡した。
橋立光っていうのか…
「それじゃあ、いってきます。」
「はい、いってらっしゃい。」
校長先生に一礼して、静かに部屋を出た。
玄関で靴を履いて、車に乗ってその生徒の家へ向かう。
「…ふぅ。」
ちょっと緊張しながら、俺は車を走らせた。
――玄関前。
「ここか…」
橋立光という生徒の玄関前。
チャイムを鳴らそうとボタンに指を動かした瞬間…
「恋したいのぉおおおお!!!!」
「!!?」
いきなり2階の部屋から、叫び声が聞こえた。
な、なんだ…!?
上を見上げたら窓が開いていて、そこから途切れ途切れ話し声が聞こえた。
「今の叫びはなんだったんだ…」
俺は1つ深呼吸して、チャイムを鳴らした。