ハルアトスの姫君―君の始まり―
「俺の言葉は猫の姿になっても分かるの?」
小さく頷く。猫の姿になるとそんなに大きく首は動かせない。
「そうなんだ。
じゃあ俺はイエスかノーで答えられる質問をすればいいんだね?」
そんな風に考えてくれることが、ただ素直に嬉しかった。
拒絶されるどころか、猫である自分とコミュニケーションを取ろうとしてくれている。
あたしが傷付かないように、言葉を選んで。
それが痛いくらい分かるから、泣きたいくらいに嬉しい。
何故かキースの体温に触れていたくなって、キースの太股に両手を置いた。
「ん?抱っこかい?」
違う。いや…ちょっとは確かに抱っこしてほしいような気がしないでもないけど。と、ここまでは心の声だけに留めておく。今のジアでは伝えられるわけもない。
だが、冗談めかしたキースの言葉にちょっとバカにされた気がしたのも事実だ。
その左手に遠慮なく猫パンチをお見舞いする。
「うわ…ちょっと!いきなりパンチはないだろ?」
「にゃー。」
バカにしたからよ、という意味で発した声だった。
「ごめんごめん。抱っこじゃないのかぁ。
というか…距離が遠いな…。結構小さくなっちゃうものなんだね。」
キースは猫になった自分を初めて見るのだ。
色々と分からなくて当然だろう。
本当は困惑してるくせに、そこをなるべく見せないようにし、自分を気遣ってくれていることが分かる。
小さく頷く。猫の姿になるとそんなに大きく首は動かせない。
「そうなんだ。
じゃあ俺はイエスかノーで答えられる質問をすればいいんだね?」
そんな風に考えてくれることが、ただ素直に嬉しかった。
拒絶されるどころか、猫である自分とコミュニケーションを取ろうとしてくれている。
あたしが傷付かないように、言葉を選んで。
それが痛いくらい分かるから、泣きたいくらいに嬉しい。
何故かキースの体温に触れていたくなって、キースの太股に両手を置いた。
「ん?抱っこかい?」
違う。いや…ちょっとは確かに抱っこしてほしいような気がしないでもないけど。と、ここまでは心の声だけに留めておく。今のジアでは伝えられるわけもない。
だが、冗談めかしたキースの言葉にちょっとバカにされた気がしたのも事実だ。
その左手に遠慮なく猫パンチをお見舞いする。
「うわ…ちょっと!いきなりパンチはないだろ?」
「にゃー。」
バカにしたからよ、という意味で発した声だった。
「ごめんごめん。抱っこじゃないのかぁ。
というか…距離が遠いな…。結構小さくなっちゃうものなんだね。」
キースは猫になった自分を初めて見るのだ。
色々と分からなくて当然だろう。
本当は困惑してるくせに、そこをなるべく見せないようにし、自分を気遣ってくれていることが分かる。