ハルアトスの姫君―君の始まり―
「移動系も場合によりけり、かな。
ヒトよりも少し動きは速いし、体力はかなりある方だと思うよ。治癒力も含めてね。
でも空を飛んだりはできない、というか試したことがない。勉強する機会もほとんどなかったしね。」

「…そうか。」

「これで少しは満足かな?」

「もう二つ、訊きたい。」

「なんなりと。」


…気に入らない。キースのこういうところが。
何でも知ってるくせに出し惜しみして、だけどいざとなると一番初めに動くんだ。


…なんなんだよ、お前。
なんでお前は…。


「なんでお前はおれたちについてきた?
怪我を治してもらってそれで終わりにすることもできただろ?
なのになんで…。」

「なんで…なんて、俺が一番よく分かってないのかもしれないなぁ…。」

「は?」


ぽつりぽつりと自分の言葉を確かめるように話すキースを見つめる。
その一つ一つの音に耳を傾けて、その言葉を吟味することが今の自分にできる全てだ。


「あの瞳にやられた、って言ったら怒る?」

「瞳?」

「ジアの瞳だよ。あの瞳は…すごく特別なものに思えたんだ。
あとは好奇心、も一つの要因ではあるかな。」

「好奇心…。」


キースの言葉を繰り返すことで理解を深める。
キースの言葉は一度聞いただけでは到底理解できない。

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