ハルアトスの姫君―君の始まり―
「キース、相手をしろ。
…殺しても、構わない。ただし、瞳を傷付けるな。」

「分かりました。」


キースが柄に手をかける。


「剣を…抜くの?キース…。」

「答えるまでもありません。」

「…あたしに、刃を向けるの?」

「向けろと言われましたので。」


あくまで淡々と進んでいく会話。
声はキースで、顔だって身体だってキースなのに、違う。


「ここで行われては迷惑だな。
…場所を用意しよう。」


そう言ってジョアンナがあたしとキースに向けて手をかざす。


「っ…!」


強い光が全身を纏い、お腹からどこか別の場所へと引っ張られる感覚がする。





「…っ…ここは…?」


光が収まり、目を開けると
―――見たことのない、大理石の大きな広間にいた。

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