ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ジアなら絶対大丈夫だとか言いてぇけど…正直分かんねぇ。
情報も少ねぇし、城の構造だって分かんねぇ。
行って生きて帰ってこれるかだって分かんねぇ。
…それでもな、ここで待ってることの方ができねぇってのだけは分かる。」


ミアはゆっくりと瞬きをした。
それは多分、同意を示している。


「はぁー…こうなるって分かってたら、おれももう少しまともに剣術勉強したんだけどな。」


そう言うとミアは額を少し離し、首を横に振った。


「…分かってるよ。お前は誰にも怪我してほしくねぇんだよな。
さて、大方準備はできた。あとは…手段。」


ミアを下ろして小屋の中を歩く。使えそうなものは…


「にゃー!」


ミアが鳴いた。その先には…





「箒!でかしたミア!その手があったか!」

『んー…なんだい、うるさいねぇ。』

「起きろ起きろ!一大事だ!おれとミアを乗せて、ハルアトス城まで飛んでくれ!」

『シュリはどうしたんだい?』

「シュリも掴まった!」

『魔力の提供が無いようじゃ、そんなに遠くには飛べないよ。』

「城は目と鼻の先だ。」

『仕方ないねぇ…乗りな。』

「おぅ!ありがとう。」

「にゃー。」


行こう。心配な気持ちをそのまま抱えて。

< 278 / 424 >

この作品をシェア

pagetop