ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ミア、クロハは式典に出るって?」
「…多分。研究が一区切りついたら出るって言っていたのだけど…。」
クロハは城の専属医師として雇われた。
薬の研究も城で行っているが、それと同時にミアの治癒力の勉強にも付き合っていたりもする。
二人の仲はクロハが思っていたよりもずっと両親に受け入れられていて、そんな二人を微笑ましく見守るのが日課のようになっていた。
「シュリ様とシャリアス様にも招待状は差し上げましたが…。」
「来賓席には来ないだろうね…そんなとこに座って見るタイプではないと思う。」
「…私も同意です。国民の中に紛れていそうですね。」
「…すっごい目立つけどね。」
「そうですね。」
シュリとシャリアスは城の復興を手伝い、それが終わるとヴィトックスの再建に向けて戻っていった。
それはそれで寂しくもあったけれど、二人の未来を思えば寂しいとばかり言ってもいられない。
シュリが最後に言ってくれた言葉はしっかりと胸に刻んでいる。
「…姫、と言った方がよいか?」
「やめてよ。ジア、でいいわ。」
「ジア…お前には色々なものを見せてもらった。
運命を自ら切り開く強さを、ひたむきさを、そして最後まで諦めない志を。
その全ての想いの端に触れ、…生きていくことはそんなに悪いことじゃないと思えた。
お前に出会えて、お前と言葉を交わせて良かった。
また会おうという約束はできん。だが…また会いたいとそう思う。
…ありがとう、ジア。」
シュリが懸念していた通り、魔法使いが城にいるということに対する使用人たちの不安は大きかった。そのため、当初予定していたよりもずっと短い期間しかシュリ達は城にいることができなかった。
…でも、シュリ達が来れないのならばあたしが行けばいい。
シュリ達が城の復興を手伝ってくれた。ならば恩返しにあたしがヴィトックスの再建を手伝いに行くのは筋が通っている。
そしてまだ、最初に城を離れたキースは戻っていない。
「…多分。研究が一区切りついたら出るって言っていたのだけど…。」
クロハは城の専属医師として雇われた。
薬の研究も城で行っているが、それと同時にミアの治癒力の勉強にも付き合っていたりもする。
二人の仲はクロハが思っていたよりもずっと両親に受け入れられていて、そんな二人を微笑ましく見守るのが日課のようになっていた。
「シュリ様とシャリアス様にも招待状は差し上げましたが…。」
「来賓席には来ないだろうね…そんなとこに座って見るタイプではないと思う。」
「…私も同意です。国民の中に紛れていそうですね。」
「…すっごい目立つけどね。」
「そうですね。」
シュリとシャリアスは城の復興を手伝い、それが終わるとヴィトックスの再建に向けて戻っていった。
それはそれで寂しくもあったけれど、二人の未来を思えば寂しいとばかり言ってもいられない。
シュリが最後に言ってくれた言葉はしっかりと胸に刻んでいる。
「…姫、と言った方がよいか?」
「やめてよ。ジア、でいいわ。」
「ジア…お前には色々なものを見せてもらった。
運命を自ら切り開く強さを、ひたむきさを、そして最後まで諦めない志を。
その全ての想いの端に触れ、…生きていくことはそんなに悪いことじゃないと思えた。
お前に出会えて、お前と言葉を交わせて良かった。
また会おうという約束はできん。だが…また会いたいとそう思う。
…ありがとう、ジア。」
シュリが懸念していた通り、魔法使いが城にいるということに対する使用人たちの不安は大きかった。そのため、当初予定していたよりもずっと短い期間しかシュリ達は城にいることができなかった。
…でも、シュリ達が来れないのならばあたしが行けばいい。
シュリ達が城の復興を手伝ってくれた。ならば恩返しにあたしがヴィトックスの再建を手伝いに行くのは筋が通っている。
そしてまだ、最初に城を離れたキースは戻っていない。