ハルアトスの姫君―君の始まり―
眼差しを感じた。―――もちろんキースのだ。
その目は迷うことなく行け、と言っている。
ジアは一度だけ頷いて剣を抜いた。


「クロハ!」

「おう。」


クロハの腕にはミアがいる。
それを確認して、ジアは走った。もちろんクロハを守りながら。






「やっぱおれも剣持ってれば良かったな。」

「ううん。クロハの手は剣を持つ手じゃないもん。」

「あぁ?」

「クロハの手は『治す手』だよ。
あたしの手は…『斬る』ためにある。」


それはある意味願いだ。
そうあってほしいという願いを込めて口に出した。
クロハは何も言わずにジアの言葉を噛み締める。
多分分かったのだろう。ジアの本心が。


少し兵士から離れたからなのか、頭が冷静さを取り戻す。
深呼吸をして落ち着いたからこそ気付く。


キースは大丈夫なのだろうか。


「あいつらが来ねぇってことは大丈夫なんだろ。」


クロハのフォローが切なく身に染みた。


「…うん。」


曖昧に頷くが、不安は消えてくれない。

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