ちゆまど―世界は全て君のために―
ごぼりと吐いた血がユリウスの体についた。
涙を流していた、イナディアルは。
「ごめ、ごめんね。僕はきっと不味いから食べるの辛いと思うんだ……。でも我慢して食べてくれないかな。父さんも母さんも僕だって、ユリウスと一つになりたいんだから」
赤い手でユリウスを撫でる兄は兄らしかった。
そんな兄にユリウスは微笑んで。
「お父さんとお母さんも、お兄ちゃんだって、ずっと私と一緒だよ」
兄の手を取り、ユリウスは自分の胸に押し付けた。
「ここにいるの。みんなのあったかい気持ちはここにあるの」
「ユリウス……」
どうしていいか分からないイナディアルに、たまらずシブリールは声をかけた。
「ユリウスは、そんなお前でも愛しているんだ」