【完】風に恋をする。
ー風馬sideー
「君たちは…野原さんの友達かい??」
「のはら、さん…??」
「さっきの女の子ですか?」
「…」
”進藤さん”と呼ばれる人は、目を丸くする。
この顔を見るのは、二回目だ。
どうやら、俺等があの子の名前を知らなかったのに相当驚いているらしい。
「俺たちは、その…部屋を間違えて」
健は恥ずかしそうに説明した。
「…そうか。初対面なのか」
「「はい…」」
「…彼女は、以前事故にあったんだ」
「ぇ…」
「そ、それは俺たちが聞いていいんですか?!」
「大丈夫、ここら辺に住んでいる人はたいてい知ってる」
「…はぁ」
「それで、両親を亡くしてね。彼女は一命は取り戻したけど、体は弱くなって、病院生活だ。一人っ子だったし、イトコとかもいなくてね。家族の人は、遠いところに暮らしているから、こっちには来れない」