【完】風に恋をする。
「もっ…だめぇ…っ」
「いいよ、泣いて」
「なんで…ッ! なんで…っ…何も言ってくれないのぉ…っ?」
俺は、ただ…佳織の手を強く握っていた。
必死に声を出さないように泣いている佳織。
きっと…あのまま俺があそこにいたら、無理矢理でも聞きたくなった。
ずっと、泣きそうなのを我慢してるように見えた。
ただ…俺たちに申し訳ないと思っただけ?
違う…。
何か、もっと…違う不安を抱えてるように見えた。
彼女はまた…
心を閉ざしてしまったんだろうか──。