【完】風に恋をする。
ー風花sideー
あたしが倒れて一週間。
陸上部の皆は毎日一人ずつ交代で来てくれた。
「よっ! 今日は俺だよー!」
「ぶ、部長?!」
「ふはっ! なんでそんな驚くんだよっ」
「だ、だって…大会近いのに…」
なんか、ものすごい悪い…。
柊先輩は「よいしょ」とベッドの近くの椅子に座った。
「具合は大丈夫?」
「まぁ…そこそこですっ」
「そっか…。大会は、来れそうか?」
「…っ」
先輩と会ったときのあたしなら、”行きます”と即答していたと思う。
だけど、今は…
”行きたくない”
そう、言ってしまいそうだ。