【完】風に恋をする。
「だからね、2人がこの部屋に入ってきた時…すごい、嬉しかった。
間違えたってのは知ってるけど、嬉しかった。笑いかけてくれる事が、嬉しかった。
病院の人は当たり前だけど、あたしに笑いかける。けど、そんなの…”決まり”で、心からの笑顔じゃない。
だからね、
陸上部の人たちの笑顔が…何よりも嬉しかった」
みんなからは”当たり前”のことだけど、
あたしからしたらすごい”特別”で、”大切”で、
宝物みたいなもの。
「ありがとう…っありがとう…」
あと…一ヶ月しかない、この命。
どうか、一時間でも、一分でも、一秒でも…
長く生きたい──…っ。