【完】風に恋をする。






「身内って、おじいちゃんとおばあちゃんだけって言ってただろ」

「それが…なんか、隠してた、みたいで…」

「は? なん…」



風花の表情で、俺は察した。

申し訳なさそうにしているだけじゃない。

悲しそうで、


今にも泣きそうだった。


「あたしに、もうしわけ、なかったって…」


つまり、あの男は風花を引き取ろうとしなかった。

でも、風花を引き取るとすれば、普通はあの男なわけで。

身内がいるのに、引き取られない風花に、風花のおじいちゃんは噓をついた。

いや…つかされたらしい。


その話を、今された。




…残酷なもんだな。






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