【完】風に恋をする。
「ぁあ?」
「そいつ俺たちの連れなんで」
「ってことだから、返してくんない?」
「…お前等、沢渡高校の陸上か」
「良く知ってんね」
「はっ! 女とイチャつく余裕があるなんて、やっぱ天才がいると違うのか? え?」
「そういうお前等こそ、女子高生ナンパして、余裕じゃねぇか」
「次の大会、優勝するのは俺たちだ」
「…」
男達は、風花を離して、どこかに行ってしまった。
「あいつら、欄西高校の陸上部よ」
「らんせい…”あいつ”か」
佳織は、コクンと頷いた。
「風花、大丈夫か?」
健がそう聞くと、風花は我に返ったように、ハッとする。
「だ、大丈夫!」
…絶対大丈夫じゃねぇ。