私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
やはり住民登録がなければ、端にも棒にもかからない。肩を落として区役所を出て行こうとすると、さっきの子供が待合所から手を振っていた。

重い手を何とか挙げて、その子に手を振る自分が無性に悲しい。


自動ドアが開くと、外の風は思いのほか冷たく感じた。



私という存在は一体なんなのだろうか。

駅前まで来ると、きらびやかな街で、無数の人間がすまし顔で歩いている。

誰もがちゃんと仕事をして、しっかりと家を持っていて、色んな制度に守られているのだろうと思える。


(私はどうなんだろ)


ちゃんと日本で生まれて日本で育ってきた。そして、ここで不安定なりにも仕事をしている。

なにも悪いことをしているわけじゃない。反社会的な活動をしているわけでもない。


なのに、この差はどうして生まれるのだろう。


いったんお金を失ってしまった人間は、どうすれば這い上がれるのだろうか。

付け加えるなら、私がたとえ定住する場所を得たとしても、そうなればいつか闇金業者の手が伸びてくるのではないかと不安でならない。


私は雑踏の中で、何度味わったかわからない絶望感に襲われていた。



そうだ、あの日も私たちは深い絶望感を味わったのだった──




春樹との交際が始まってから一年が過ぎ、そして私は二度目の誕生日を迎えていた。


「今年はちょっと変わったプレゼントかな。つか、まあ……二人の未来の投資ってとこかな」

「未来?」

「はは、まあまあ。ちょっとこっち来いよ」

< 177 / 203 >

この作品をシェア

pagetop