私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
笑って体を起こした夏子さんは

「で、どうだった」

と、開口一番そう言った。

「だめでした」

私も努めて明るく、そう返すしかない。

「役人って頭固いからねえ」

「それが聞いてくださいよ。すんごく頭にくるんですよ、ハゲじじいのくせに」


それから小一時間、夏子さんと私は、散々あの役人に対する愚痴を言い合っていた。

むなしい遠吼えとわかっていても、そのくらいしかストレスのはけ口が無いのだからしかたない。

だが、現実は私をとらえて離さない。

笑っている私の頭の隅に潜んでいて、じわじわと侵食を始める。やがて、頭のなか全体が悪夢のような現実に満たされると、私の笑いは口元だけになった。


「夏子さん」

「なに?」


私はここまで歩いてくる間にずっと考えていた。

これからのことを考えぬいた結果、ひとつの結論を出したのだ。というか、常識の考えに戻ったと言ったほうが正しいだろう。

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