私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「不幸な奴は生きるなってこと?」

「そんなことは言って──」

言いかけて、私は息を呑んだ。


夏子さんが自分の頭に手をのせると、そのまま髪の毛をつかんで下におろしたのだ。

その手には、髪の毛のかたまりが握られていた。


言葉も出ない。私の目は、その髪の毛の無くなった頭に釘付けになっていた。


「私は子供が出来なかった。子宮がんでね」


厳しい表情のままの夏子さんが、ひとつまばたきをした。

その刹那、透き通った涙が頬に流れた。


「子供も産めない女は出来損ないだと、夫と姑、親戚から言われて、そのあげく転移して今や余命2ヶ月よ」


かける言葉など見つかるはずもない。


「いまの私の状況より、その子の状況は悪いってことよね」

「そんな……夏子さんはだって」

「どこが違うの!」
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