私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
もちろん想像するだけで心が躍る。ずっと身を削って働き詰めなのだ。ほんの少しで良い。何もかも忘れて楽しみたいと思っている。

しかし、


「でも、お金が……」


いつも妄想を断ち切るのは、お金がないという現実だ。


「お金なら私が出してあげるから」

「え、でもそんなこと……悪いですよ」

お金を稼ぐということが、どれほど大変なものかということは、骨身に染みてわかっている。

おいそれと好意を受けるほど、私はあつかましくはないつもりだ。

「気にしないで良いよ」

と言われても、だ。


私はかたくなに拒んだ。彼女を好きだからこそ、少しの負担もかけたくはない。

夏子さんは困った顔をしていたが、最後には目に寂しさをたたえて微笑んだ。


「本当に気にしないで。もう……必要なくなるんだから」


私は奥歯をかみしめて、喉からこみあげてくる感情を押し戻した。


(私ってなんて馬鹿)


夏子さんの真意をくめなかった。

言いたくはなかった言葉を、私は引き出してしまったのだ。


「やっぱり甘えちゃおうかな」


重くなりかけた空気を払いたくて、ことさら明るく言ってみせた。

< 197 / 203 >

この作品をシェア

pagetop