私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「よし、じゃあどこに行くか考えなくちゃね。久しぶりにわくわくしてきた」


会話の内容とは裏腹に、私は胸にわいたマイナスイメージを拭いきれない。

夏子さんの命はあとどのくらい保つのか。

わずかなものだと理解はしているが、実感として受けとめられないでいる。

たぶん、目の前からいなくなって初めて強烈な喪失感に襲われるのだ。

そうなったとき、私は堪えられるのだろうか。

これ以上打ちのめされてなお、私は生きてゆけるのだろうか。


(いままでだって独りだったじゃない)


いなかった人と考えれば良いだけだ。

が、

(そんな風に思えるわけないじゃない)


かみ殺していた感情が、じわじわと鼻腔から漏れてくる。

まばたきをするとこぼれてしまうそれをごまかすため、上を向いて目を見開いた。


「星がきれいだね」


私はそう言ったつもりだったが、泡をくったような響きで、言葉はあいまいにこぼれた。


「星ねえ」


夏子さんの呆れたような声が聞こえる。


「雪、あんたちゃんと見えてんの?」


ぷっと吹き出した夏子さんだったが、私の感情の昂ぶりを察していたのだろう。あえてこちらを見ずに夜空を見上げたままだ。


「見えるもん!」


私は虚勢を張った。
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