私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「私がいなくなっても、あんたには今まで以上に守らなきゃならないものがあるでしょ」

私はお腹に視線を落とした。


「だから雪は、これからも真っ白に輝き続けるんだよ」


そうは言われても、正直私には自信がない。むしろ不安しか持ち得ない。


「守れるんだろうか……私は夏子さんみたいに強くないもん」


伏し目がちな私の前に、夏子さんが立った。そして目を見据えて言った。

「雪は強いよ。私よりずっとね」

「強くなんかない。知恵もないし、世の中の仕組みも何も知らなかった」

自嘲気味に答えた私の肩を、夏子さんの両手がつかんだ。


「雪は子供を産もうとしてるじゃない。それだけでも強い証拠なんだよ。人は誰かを守ろうとする力で強くなるの。その想いが強ければ強いほど、その人は強くなれる」



(私が……強い?)



「だから雪が子供を手放そうとすれば、弱くなった雪は自分自身すら助けられなくなるの。誰かを助けるってことは、結局自分を助けることなの。自分だけしか見えない人は、ずっと弱いまま。たとえ腕力があっても頭が良くても、誰も助けない人は自分も救えないの」


夏子さんの言葉が胸に響いた。

私は口端をひきしめると、うなずいて

「ありがとう」

と、短く答えた。


< 201 / 203 >

この作品をシェア

pagetop