私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
「よく見て、製品の種類が違うだろ」

今まで流していた製品のなかに、別の種類のチップを混入させてしまった。

ちゃんと確認していれば何のことはない作業だ。自分でもこんなミスをすることが信じられなかった。

「すいません」

「俺に謝られても仕方ないけどさ。まあ、最初はみんなやるんだから気にしない」

その派遣社員は、

「自分も同じことをやったから」

と、なぐさめてくれたが、後ろからあがった声はそうではなかった。

「社員さん呼んでこなきゃ。うわあ、とんでもない事しちゃってえ」

振り向くと、渡辺が笑みを浮かべて立っていた。

「すいません」

と、謝ろうと思ったが、その顔を見るとそんな気もうせた。


(あんたがキャーキャー言ってるから集中できないのよ)


心の底には、そんな声がある。


すぐに正社員が飛んできた。

「あー、やっちゃったか。まあ、巻き出したところだし、このくらいなら大したことじゃない」

この安田という社員は、ずいぶんと男前だ。若いが、この工程を担当する班長でもある。

「本当にすいません」

「うん、まあね、誰でもやることだけど、肝心なのは二度とミスをしないことだよ」
< 81 / 203 >

この作品をシェア

pagetop