私はダメ人間じゃない~ネットカフェ難民の叫び~
しかし頭が固いのだろうか。男を簡単に好きにはならないのだ。

昔の友人は、そんな私を

「理想が高すぎるんだよ」

と笑った。

そうでもないと思うのだが。



夕方の休憩時間。休憩室には女子社員が多くなる。男性社員は、ほとんどが喫煙室にこもってしまうからだ。

誰とも口を聞かず、ひとりジュースを飲んでいると、そこにやってきた男性の派遣社員が私を見るなり寄ってきた。

「お、あんたが噂の海野さん?」

女ばかりの部屋でも物怖じしていない。言うなり私の横に座ってきた。

「あ、はい」

それほど顔が悪いわけでもないが、この強引さはちょっと引く。

「可愛いって評判やでえ」

なるほど、関西人か。それならこの馴れなれしさも、少し理解できる気がした。

「そんなことないですよ」

私は努めてそっけなく答えたつもりだ。しかし、影から声があがるのを聞き逃さなかった。

「いい気になっちゃってさ」

その声の方向へ顔を向けると、さっと顔を背けた渡辺がいた。

(いい気になんか、なってないじゃん)

と、声をあげたい心境だ。

「ああ、気にせんときや。オバハンの嫉妬やから」

「オバ……」

思わず吹き出しそうになる。
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