晴れ時々@先生の妹【第1巻】
女子生徒が涙を溢しながら泣き始め、そして突然歌を歌い出した。
「本の少しだけ
幸せを感じたい
涙、溢さないように
我慢をするから
ごめんね ごめんね
私、キミの優しさに
甘えすぎで……… 」
女子生徒がゆっくりと顔を少しずつ上げる。
やっと顔を上げたが、泣いてしまったせいで女子生徒の目の周りのメイクが流れ落ちパンダのような黒い目になっている。
――酷い顔だ。
だけど、中村先生は目の前にいる女子生徒を見て一目で誰なのか直ぐに分かった。
「………二戸 梨杏!」
「先生、ごめんなさい――」
――その時、二戸 梨杏の隣にいる店員も涙を流して泣いていた。
店員はトイレに一刻も早く行きたいのと手錠の鍵を待ちわびて泣いていたのである。
カラオケ店の正面の自動扉が開いた。