鈴の音が響く頃
リーン
「鈴?」
「えっ?!」
いま、たしかに聞こえた
「鈴の音、しなかった?」
「し、しないよ」
杏があきらかに動揺しだした
「こっち…」
「ちょっと、響古!!!!」
私は、近くにある山の入り口に走っていた
そこは、草でできた塀が
入り口を隠していて
奥には石の階段が見える
あれが、山への上る入り口
「どうしたの、響古?!とうとう、おかしくなった?!」
「なってない!!失礼な!」
「ああ〜よかったぁ…」
「この山から、鈴の音が聞こえたの」
一歩、草でできた塀の中へ
潜るように入る
「うそっ行くの?!」
「他にすること無いし」
「いや、ある!やめよう!
これはやめよう!!!
ちょ、響古ー?!」
叫ぶ杏を無視して
奥へと進む
草の塀を越えた瞬間
「うっ…」
体に、ビシビシと感じる
視線…
それも一人じゃない。
何十…いや、何百という人数の視線
他者を拒む
冷たい視線
でも、悪い感じはしない。
たぶん
「監視されてる…」
「監視!?!?」
いつのまにか後ろにいた
杏が、すっとんきょうな声を上げる