たまには甘くいきません?<短>


キスの仕方なんて、分かりません。


教えてもらった事なんて無いんですから。



涙を流しながら貴方にキスを沢山沢山します。



『やめなさ……っ』


貴方の声は聞こえていますが、止めたくありません。


「うっ…ふえ…」


涙とキスで、苦しくてもう訳が分かりません。


分かるのは、貴方が好きだという事。


どのくらい続けたでしょうか。

途端に、両腕に痛みを感じて、体がグイッと引き寄せられて、目の前が貴方のうなじで。

貴方の匂いを今迄無いくらい濃く感じられます。


腕の痛みは、全身を締め付ける痛みに変わって。



抱き締められているのが、やっと理解出来ました。



頭がついて行きません。


『貴方は僕に壊されたいのですか!!』


聞いたことのない、感情が露になった貴方の声は、私の肩を震わせました。


『……こっちに来なさい』


そのまま体を抱き上げられて、連れていかれたのは、貴方のベッドでした。



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