恋がはじまるよ
 結局。

 後は全部、洸貴がやってくれた。

 洸貴のカレーは、結衣の家のカレーより、少し辛口だったが、おいしかった。

 皿の中で、結衣の切ったジャガイモだけが、不恰好にごろごろしている。

 テーブルを挟んで、それを食べている間、洸貴はずっと黙ったままだった。

 結衣も、話しかけるきっかけがつかめなくて、ただ黙々と、スプーンを口に運んだ。

 空気が重たくて、なんだか息苦しい。
 
 小さい頃は、あんなに仲良く一緒に遊んだのに。

 洸貴は、昔のことを全部忘れてしまったのだろうか。

 これでは、まるで、小学校のときに、クラスが変わると、そっけなくなってしまった同級生みたいだ。

 




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