AKANE
「誰か! 医療班・・・! 」
今から二百年前、サンタシはゴーディアの仲間の裏切りを利用し、一時落城の危機にまで追い込んだ(マルサスの危機)のだが、魔王ルシファーの強大な魔力により、サンタシは勝利までのあと一歩を惜しくも逃していた。
しかし、その後サンタシで即位した、ロベール・フォン・ヴォルティーユ王の愚かな国政によりサンタシは国内から弱っていった。
それを見逃さなかった魔王ルシファーは、いよいよサンタシ国内へと勢力を伸ばし、ミラクストーをはじめとする武器生産の中心地を抑制していった。
身動きのとれなくなったロベール王は、軍事国カサバテッラと協定を結び、なんとか持ち直すことに成功。
百三十年前、こうしてカサバテッラ、サンタシの共同作戦が開始されたのであった。
そうして攻防を繰り返すうちに五十年の月日が流れ、今から五十五年前、カサバテッラ、サンタシによる史上最大の作戦“飛行撃砕作戦”が決行されたのだ。
カサバテッラが軽量開発して長時間の飛行を可能にした、ハングライダーでの飛行により、嘗て試されたことのない上空からの攻撃を計画したもので、この年、ゴーディアの上空では激戦が繰り広げられた。
「医療班! 誰か近くにいないのか!?」
ハングライダーの残骸があちこちに転がり、中には再起不可能な程に骨組みが捻じ曲がっていたり、折れてしまっているものも多数ある。
夜の明けない真っ暗な空は、上空で繰り広げられる激戦で、炎の色に染まっていた。
「頼むっ、誰か・・・!」
フィルマンは吹き出る脂汗を手の平で拭った。