AKANE
 ズンと剣を背から突き刺され、ルシファーは衝撃で僅かに前のめりになって振り向いた。
「お前は・・・」
「確かにその身体はダメージを受けないかもしれないが、貴様本体の肉体ならどうかな」
 顔色を変えたルシファーが慌てて貫かれた剣を抜こうともがく。
「まさか・・・!」
「そのまさかだ。クロウはお前より一枚も二枚も上手だってことだ。わかったか、ブラントミュラー公爵」
 クロウは顔を上げてくすりと笑った。
「させるか!!!」
 正体を見破られたルシファーの姿をしたブラントミュラーは、一度は消滅していた首切り鎌を再び出現させ、ぶんと大きく振り落ろす。
 その前に突き刺していた剣をさっと抜き去り、剣の主はやすやすとその攻撃をかわした。
「お前はここで死ぬんだ、ブラントミュラー」
「ぐぁっ!!」
 ぐらりとルシファーの首が傾き、さらさらと蒼黒の髪をなびかせながら、ぼとりと地面にそれが転がった。
「フェルデン、助かったよ」
 胸の傷を抑えながら、クロウが首を刎ねたソードを元の分子へと分解させた。
 首の無くなったルシファーの身体は、手探りで自らの首をあたふたと這いずって探している。
「首を刎ねられても、痛くも痒くもないんだろ? しばらくそのまま大人しくしていろ」 
 フェルデンがざくりとルシファーの背後から硬い岩にその身体を串刺した。首を失った身体はバタバタと滑稽にもがいている。
< 522 / 584 >

この作品をシェア

pagetop