AKANE
けれど、夢の中の彼女はいつでも優しく微笑んでいた。奪われたのは彼女の方なのに、彼女は消えるほんの僅か前まで、クロウが身体を貸してくれたことに感謝こそしていた。
(アカネ、僕はいつだって君から奪うことしかできなかったというのに、君にはたくさんの物をを貰ってばかりだった・・・)
クロウは月明かりに目を閉じた。
クロウと彼女はコインの表と裏のようであった。けれど、それは元々は同じ一枚で・・・。二人が一つの魂を共有していることに変わりは無い。
ふと、あの日の光景が蘇る。
朱音の存在が消えたすぐ後、
「もう、アカネは戻らないのか、クロウ」
と、問うたフェルデンのそのときの様子。そのまま黙り込んでしまった彼のそのあまりに辛そうな顔はとても見ていられなかった。それはまるで、片羽を捥がれた蝶のようで・・・。彼の心の痛みは計り知れない。
けれど、それ以来彼は一度も朱音の名前を口にしなくなった。それが彼の周囲の者やクロウへとの優しさなのだろう。自分が彼女を救えなかったことを嘆き悲しむことで、クロウが自らを責めることのないようにと。そして、周囲の者に気をつかわせることの無いようにと・・・。
しかし、クロウは知っていた。彼が変わらず彼女のことを愛し続けていることを。そして、今でもそっと彼女の帰りを密かに待ち続けていることを・・・。
(アカネ、僕はいつだって君から奪うことしかできなかったというのに、君にはたくさんの物をを貰ってばかりだった・・・)
クロウは月明かりに目を閉じた。
クロウと彼女はコインの表と裏のようであった。けれど、それは元々は同じ一枚で・・・。二人が一つの魂を共有していることに変わりは無い。
ふと、あの日の光景が蘇る。
朱音の存在が消えたすぐ後、
「もう、アカネは戻らないのか、クロウ」
と、問うたフェルデンのそのときの様子。そのまま黙り込んでしまった彼のそのあまりに辛そうな顔はとても見ていられなかった。それはまるで、片羽を捥がれた蝶のようで・・・。彼の心の痛みは計り知れない。
けれど、それ以来彼は一度も朱音の名前を口にしなくなった。それが彼の周囲の者やクロウへとの優しさなのだろう。自分が彼女を救えなかったことを嘆き悲しむことで、クロウが自らを責めることのないようにと。そして、周囲の者に気をつかわせることの無いようにと・・・。
しかし、クロウは知っていた。彼が変わらず彼女のことを愛し続けていることを。そして、今でもそっと彼女の帰りを密かに待ち続けていることを・・・。