AKANE
 なぜなら、クロウは見ていたのだ。あの全てを終えた日の夜、敵の手に落ちることなく隠し通せたあの棺の前に跪(ひざまず)き、そっとその棺の淵を静かに触れていたことを。
 彼は今でもああして棺の前に毎夜訪れているのだろうか。



 響き渡るトランペットの響き、太鼓の音。
昨日同様、どこまでも晴れ渡った空が眩しげな太陽を照らし、真新しい建物で溢れ返る王都の街並みは、遠方からきた観光客や民で賑わっている。出店が立ち並び、色鮮やかな紙吹雪が舞い、あちこちで新王都の復興を祝う喜劇が民衆の間で演じられている。王都中が祝福と喜びでお祭り騒ぎである。
 その王都の真新しい大通りを、豪華な馬車が進み、その後に続いて騎士団が行進する。サンタシの新国王と、その祝いの席に駆けつけたゴーディアの新国王が同じ馬車に同乗し、喜びの眼差しで見つめる民衆に向けて微笑みを返している。
 この日、サンタシの王都復興を祝う特別な式典が催された。同時に、国民への感謝を込め、フェルンデンが盛大なパレードを企画したのだ。
 王都の外からも、新しい国王の顔と新しい王都の姿を目の当たりにしようと、多くの民が詰め掛けていた。勿論、国外から駆けつけた者も多い。
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