AKANE
「アカネ、君は本当にすごい女の子だ」
フェルデンの言葉に首を傾げると、彼はふっと優しい笑みを浮かべた。
以前よりもすっかり大人っぽい顔つきになった青年は、今や王たるにふさわしい空気さえ纏っている。
「君がこのサンタシ国を守った。そして、兄上さえもが成し遂げることのできなかった、ゴーディアとサンタシの平和への礎を築いた。君は偉大だ」
全くそんな偉業を成し遂げたつもりのなかった朱音は、純真な目で整った若き王の瞳を困り顔で見返す。
フェルデンは気付いていた。彼女の魂が、どれだけ高潔で、そして人々の心を捉えて離さぬほどの魅力を兼ね備えているかということを。そして、その彼女の魂こそが、サンタシとゴーディアの人々の心を一つに結束させ、平和へと導いたのだという事実を・・・。
「だけどフェルデン、いつクロウがわたしだと気づいたの・・・?」
朱音からすれば当然の疑問だった。
朱音の知る限り、フェルデンが自分の存在に気付いていたという覚えが見当たらなかった。ディアーゼ港での再会時には、確かにフェルデンは自分を見て、敵国の王であり憎い仇だという目を向けていた筈であったし、その後の王都での闘いでも、一向にそんな素振りは見せていなかった筈だ。