〇●ポーカーフェイス●〇
「君は弱い。誰よりも弱い」
「うるさい…あんたに何がわかるのよ…」
そう言って机に置いてあるものを勢いよく払いのける
床に散らばる灰皿と、たばこ
「私は強いの。何が悪いっていうのよ。何がいけないの?ここまで来たじゃん。ここまで一人で生きてきたじゃん…!どこが弱いのよ。あれから泣いてないじゃん。誰にも頼ってないじゃん。」
そううずくまり声を震わす東城
俺は言葉を失った
こんな感情をむき出しにした東城は初めて見た
「結愛。泣かないから強いわけじゃない。一人でいるからつよいわけじゃない。いいか?ヒトはいつでも強さと弱さの間にいるんだよ。いつだって強くもなれるし弱くもなる。本当に強い人は人を信じるっことができる人だ。自分の弱いところを人の見せることができる人だ。いつでもどちらにでも転がることができる。その人が決めることができる。」
東城は立ち上がり、ヘアのドアまで歩き、背中を向けたまま立ち止まる
「だったら私は弱いままでいい」
それだけいい残し、部屋を出て行った