3 year 君と過ごした最後三年 (version.mystery and suspense)
流星がひとつ、その身を焦がし消えていく。夜空が包み込み、ひかり成し消えていく。
「オレさ……」
視線をおとし彼はいった。
「なに?」
「……なんでもない」
「そう?」
「……なんでもない」
風がひとつ、冷たく過ぎて消えていく。髪をさらい、夜のなかへ消えていく。
わたしはそれをおさえ、髪を触れて小さくバレッタに触れていく。
横目でとらえ、ふたり不意に重なった視線をそらし慌てていく。
静かに時が流れて過ぎていく。足音がふたつ、ならんで消えていく
彼がそっと、時を引きのばすよう歩みをおとしていく。わたしもそっと、応じるように歩みおとしていく。
――繋がれた手。バスに乗り込むふたり。
突然、心臓がひとつ激しく脈を打った。心を突き刺すよう烈しく脈を打った。
冷たさが伝わっていく。温もりが伝わっていく。鼓動が速まっていく。
心と想いの狭間で消えていたなにかが、あの時こぼれ落ち消えたなにかが、わたしのなかに流れ込みそして消えていく。