マザーレスチルドレン
こうしてケンイチの死体は闇組織の死体処理屋によって施設より運び出された。


カリヤは自分の犯した性的虐待が発覚する事を恐れケンイチの死体を極秘裏に処理したのだった。


車は施設を出てしばらく走ると廃屋と化しているドライブインの駐車場に止まった。


男は車から降りると小走りで駐車場の隅へと急ぐと立ち小便をはじめた。


(ふう、もう少しで漏らすとこだった。この時間はやっぱりまだ冷え込むな)


時刻は明け方四時半、吐く息は白い。


用を足しながら見上げるとかろうじて『旭屋』と読める朽ち果てた看板がかかっている。


辺りは人影はおろか猫の子一匹いそうにない寂しいばかりの風景である。


(あのガキも可愛そうに。牧師さんもお祈りくらいしてやればいいのに……)
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