マザーレスチルドレン
「だけどこっちも簡単にはなれねぇ、


やっぱ才能ってやつがあるんよ。


ヤクザにも。まあ馬鹿じゃあなれない。ここは一緒。


はなからサラリーマンやってるようなヤツには到底無理、


ヤクザは自分で稼がなきゃな、でも今はシノギあげるの楽じゃない。


あとは天才的な何かが必要なのさ……、


馬鹿でなれず、利口でなれず、中途半端じゃなおなれず。


それが侠客、ってな、まあいいか……」


ネオシティの街をヨシオカ達を載せた黒い電動高級セダンが走り抜けた。


カーラジオから古いジャズが流れている。


寂しげなテナーサックスの音。


「しかし今年は暑いよなあ。

こんな体裁だけで中身のない張りぼての街つくりやがるから、

あちこちから馬鹿どもが湧いてきて暑苦しくてしょうがねえ」


「みんなくたばりゃいいのになあ……」


「殺したいか? ヤオ。みんなブッ殺したいか? 


この街の奴ら皆殺しにしてくれよ」

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