教えて!恋愛の女神様
 教室へ入ろうとすると入り口に学生が溜まっていて、何やらヒソヒソと話していた。近づいて行くと『あの人カッコよくない?』や、『どこの学校の人かな?名前知りたい!』、『きっとモデルとかやっているよね』としゃべっていた。
(何の話しをしているのかな?有名人でもここを通ったのかな?)
すると、灯がわりと仲良くしている子を見つけ話しかけた。
「なんかあったの?」
「いや、それがね。教室の中にカッコ良い男の子がいてね。『何でいるの?』って聞いたら、『ここの短大の女の子にかわいい子がいるってウワサを聞いたから見に来た』って言うの。それでみんな色々話していたの」
「えーっ、何それ。芸能人じゃあるまいし。ワザワザ見に来るってどんだけヒマなの?」
「まあ、言われてみればそうだね」
「そいつ何者なの?うちの学校の学生なの?」
「ううん、違うみたい。ただ通っている学校の名前は教えたくないみたいで、質問されてもノラリクラリとかわされちゃった」
「ますます怪しい!」
「本当、詐欺師かなんかじゃないの?」
「そんな風には見えなかったけどな。たしかにカッコ良くてチャラい感じもするんだけど、しっかりした部分もあると言うか……」
「花ちゃん良い人だからそう思うんだよ。よーし、こうなったらどんな奴か見てみようじゃない」
「そうだね、灯ちゃん。考えているばかりじゃラチが空かない」
私たちは顔を見合わせるとのぞき見している学生を押しのけ、一番近い入り口から頭をねじこんだ。
 しかし教室の真ん中あたりに座った後姿を見たとたん、私は全身が凍りついた。
 彼の髪型も背中の広さもよく知っていた。以前私はそれらが好きで、ほぼ全てのエネルギーを、愛する事に使っていた。起きている時だけじゃなく、寝ている時さえそうしていた。
-遊ばれているとも知らずに……-
気が付けば私の体はガタガタと震えていた。思い出そうとせずとも記憶に深く刻まれた過去は自動的によみがえり、恐怖と屈辱が全身に行き渡った。心臓など、今にも止まりそうだった。






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