翼をください。
「ただいまーーっと…」

部屋に入るなり、
私はベッドにヘッドスライディング。

枕に顔を埋め、
足でパタパタと布団を叩く。

ここは私の部屋で、
これは私のベッドで、
ここは私の家で。

ーー本当に?

ここは夕陽家で、
私の苗字は稲田で。

実際の両親はいなくて、
父とも母とも血が繋がっていない。

本当に、帰りが遅くなったら、
心配してくれるのかな……

実の娘のように。
< 12 / 23 >

この作品をシェア

pagetop