ひとつの恋に出逢った。


「ただいま」

「お帰りなさーいっ」

いいにおいがする。換気扇のブォンブォンという音が聞こえた気がした。


「さばの味噌煮」

「ピンポーン」

姉が台所からこちらを向いて笑った。その後味噌煮を少し食べて味が薄いと呟いた。


「味薄いのやだよ」

食べるこっちのみにもなれ。と思ったが、作る姉の身にもなってみた。


「ねーちゃん?」

「んー?」

「彼氏、いねーんだよな?」

「……」

少し間が空く。…まさかの展開かこれは。

「さあねぇ」

「なんだよそれ。志緒から伝言あるよ」


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