おじいさんの懐中時計
――家に着くと、ゆかりと母さんが一緒におやつを食べていた。

「母さん、今朝は――ごめん。」

母さんは一瞬、変な顔をして


「エ!?、あなたは――誰?。よその家に勝手に入ってきて――。」

僕は、びっくりして言った。

「よその家って、ここは僕の家だろ。」


「お母さん、このお兄ちゃん、頭へんなんじゃないの―。」


ゆかりまで、おかしい。

僕はてっきり、母さんとゆかりが意地悪をしているのだと思った。


「ゆかりも母さんも、今朝は悪かった。ごめんよ。だから、悪ふざけは止めてくれよ。」


母さんとゆかりは、顔を見合わせて言った。

「あなたは、本当に誰?。」

「僕は瀬尾 真琴(セオ・マコト)だろ。」

「うちには男の子なんて、居ないわよ。住所は?。何か勘違いしているんじゃない?。」


「お母さん、このお兄ちゃん、やっぱり頭が変なのよ。」


おかしい。いくら悪ふざけにしても、ここまでやるはずがない。だとしたら、何だ――?。この母さんも、ゆかりも誰なんだ?。それとも、僕が僕でなくなったのか!?。頭の中が、パニック状態になった。



「ワー!!。」
大声をあげて、僕は家を出た。


耳元で、ゆかりと母さんが言った言葉が耳に残った。


「あなたは誰!?。」
「お母さん、このお兄ちゃん、頭が変なのよ。」


――そうだ!、僕は誰!?。瀬尾…真琴…。

本当に、そうなのか―?。






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