†導かれる聖女†


「…喰われた後だな…」


ルークは無表情でそのバラバラになった肉の塊を見下ろす。


その瞳は紅く残酷だ。


「ヴァンパイアのものじゃない。ヴァンパイアは基本的に肉は喰らわない。これは…」


そこまで言って私に視線を向ける。


「…セシル…?」


紅い瞳が私の瞳を捕らえる。ルークは私に手を伸ばした。


「顔が真っ青だ…」


―ビクッ


ルークの手が私の頬にふれようとした瞬間、体が震えてしまった。


きっとルークにも気付かれている。


ルークは私を心配して声をかけたのに…


「…ごめんなさい…」

「…気にしなくていい…
俺も人間からしたら化け物だからな」


安心させるようにルークは笑う。でも…


その笑顔は酷く傷付いたような顔をしていた。








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