天使のキス。
じいじの空手着の襟を掴んでユサユサ揺らし、支離滅裂に思いつくまま叫び続ける。


そんなあたしに――…


じいじは、呆れることもなく、穏やかな笑みを絶やさず、こう言った。


「愛里ちゃん。
空手を通じて学んだものは何かな?」


「…え?」


「努力や勇気、はたまた精神力、思いやり…。
これが恋愛にも通じるとじいじは思うがな」


「…え?」

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