天使のキス。
「話ってそれだけかな?
だったら、僕、帰るけど」


五十嵐くんが立ち上がる音と、


「じゃあ、沙耶ちゃん。
君とは今日でお別れだ」


最後まで変わらなかった五十嵐くんの声のトーン。


そのどちらにも、あたしは、吐き気を感じた。


“どっちでもいいよ。
沙耶ちゃんの好きにして”


それって、五十嵐くんの優しさじゃなかったの?


それって――…


お金は払うから、沙耶一人で何とかしろって…
そういうことだったの!?


信じられない。


五十嵐くんの人間性が、信じられない。


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