天使のキス。
五十嵐くんのひどい言葉に、あたしは動くこともできず、沙耶に肩を叩かれるまで呆然としていた。


「愛里。
病院行くわよ」


唐突にそう言われて、あたしはポカンと口をあけた。


「え?」


「即行おろす」


そう言うと沙耶は、あたしを待たずに、足早に店を出た。


「ち…ちょっと待って。
沙耶っ!
おろすって…
そんなこと。
そんなに簡単に決めていいの?」


足早に歩き続ける沙耶の後ろをおろおろと着いていくあたしに、


「あんな奴の子供産んでどうするの?
愛里も奴との会話、聞いたでしょ?」


沙耶は立ち止り、くるっと後ろを振り向いて、仁王立ちであたしを睨みながら口早に言った。


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