天使のキス。
「昴?
どうしたの?
女の子にそんな手荒な真似するなよ!」


隼人くんは、あたしの腕にかかった昴くんの腕を放そうとしてくれたけど、昴くんはあたしの腕を放そうとはしなかった。


人影のない建物の裏に着いて、昴くんはあたしの腕を解き、壁にもたれて右手で眼鏡を上げ、その手を下ろし腕を組んだ。


「君、この前ウチの病院にいたよね?
あれ、どういう事?
言い訳があるなら、聞いてやるよ」


眼鏡の奥の瞳が冷ややかに瞬いて、あたしはビクッとしながらも口を開いた。


「友達が妊娠してて、その付き添いで」


「…友達?」


昴くんは冷笑しながら先を続けた。


「へぇ、珍しいな。
君の友達は、男なのに妊娠するんだ?」
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