7 STARS
* * * * *


バイト帰りの10時半。
…この前ここに来た時よりも遅い時間。


階段を上った先には…


黒のダッフルコートに紺のマフラー。
そして素手で天体望遠鏡をいじりながら空を見ている、夏原。


…多分、あたしが来たことなんて気付いてない。
目は、レンズを覗いたまま。


夏原の目すら見えない。
頬しか見えない…けど、それでもとても真剣だということだけは伝わってくる。


「ふぁ…やばっ…クシャミ…っ…くしゅん!」

「え…?」


夏原がクシャミに気付いて、望遠鏡のレンズから目を離した。
そしてこっちを向く。


「…やっと来ましたか。防寒対策は完璧ですか?」

「なわけないでしょ!別にあたし、星見に来たんじゃないし!」

「では何を?」

「夏原に彼女がいるかどうか訊きに来たの!」

「何故そのようなことを?」

「夏原、顔はイケメンらしいから!あとクリスマス近いから!」

「イケメンらしい、ということはあなたは私をイケメンとやらではないと考えているわけですね?」

「あたしはイケメンに興味がないだけっ!」

「そうですか。あなたはたったそれだけのことを訊くためにここに?」

「気になったんだもん!悪い?」

「いえ、善悪の判断はしかねます。」

「じゃーとっとと答えて!そしたら帰る!」

「…そうですね…じゃあ答えるの、やめましょうか。」

「はぁー!?」


またこの男は…!

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