7 STARS
「そこ、覗いてみてください。」

「う…うん…。」


あたしはゆっくりとレンズに目を近付けた。
レンズの先には…


「…これ…月…?」

「ええ。月面です。」

「えぇーすごい!なにこれなにこれ!夏原すごい!」


あたしは思わずレンズから目を離して夏原を見た。
すごい!こんなもの見てたなんて!


「こんなちゃんと月の表面って見えるんだ!」

「見えますよ。今日は空気が澄んでますから特にはっきりと見えますね。」

「ね、もう1回見てもいい?」

「ええ。どうぞ。」


あたしはもう一度レンズを覗いた。


確かに、月がある。
もしかしたら手が届くんじゃないかっていうくらい近い距離にあるような気がしてしまうくらいはっきりと、見える。


「…すごーい…綺麗。こんな色…なんだ…。」

「…感動、するでしょう?」

「…少しだけね。」

「出ましたね、意地っ張り。本当に表情と言葉が裏腹です。」

「ってそんなことはどうでも良くて!早く答えなさいよー!」

「まぁそう焦らずに。せっかくここまで来たんですからゆっくり鑑賞したほうが良いですよ。
カイロも2つ開けました。どうぞ。」


夏原にカイロを握らせられる。
…くそぅ…ここまでされたら帰れないじゃん。

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